そうして踏み込んだその場所はとても温かい場所だった。 とても柔らかな場所だった。 そして同時に、それらに満たされるよりも多くの冷たさを秘めた場所だった。 「ハナ?寒い?」 「寒い」 自らの腕で自分を抱き、体を摩った。 とても寒かった。 全てを冷え固め、時間さえも止めてしまっているみたいだった。 「ハナ。おいで。こたつは暖かいよ」 笑って、手を引いて、蒴はそう言った。