「朔ちゃんお帰りなさい。あら、お友達? 初めまして。ほらほら、上がって? 外は寒かったでしょう? おこたにあたって? うちはいまからご飯なんだけど。 あら、私ったらまだお名前も聞いてなかったわね」 朔のおばあさんは穏やかな口調で、朝早く訪問した私を嫌な顔をせず迎え入れてくれた。 「あの、華です」 名前を告げた。 でも家には上がらない。 上がれない。