「ふふっ」

と小さく笑いながら朔はそう言った。

そうか。

だから話しかけてくるのはお年寄りばかりなのか。

私はそんなどうでもいいことを思った。

だってなんだか、頭がふわふわとして上手く回らない。

よく知りもしない人に手を引かれて。

普段なら言葉を交わすことのないお年寄りと挨拶を交わして。

いつもよりも随分早い時間に外を歩いて。

だから目を閉じても詳細に思い出せるくらいには知っている街なのに、なんだか夢の中にいるような現実じゃないような不思議な感覚になる。