分かるわけない。 理解できるはずもない。 分からないから。 知らないから 朔はあんなふうに笑うんだ。 「昨日、母親が出て行った」 なぜか私は口を開いて声を絞り出していた。 「私を置いて出て行った。 あの人たちが居たから私も居るのに、母親は行き先も言わないで出て行った。 父親は全く知らない女のところに居る。 家にも学校にも、私には居場所がない」