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まだ太陽は低い位置に顔を覗かせたばかりで目の前に広がる景色はまだ眠りに包まれている。
人の出す音は一つもなくて、鳥とか風とか自然の音だけが虚しく響いている。
目が覚めてスマホを確認すると父親から何回か着信があった。
だけどもう何年もまともに口を聞いていない父親と話すなんてことしたくなくて、だけど
『電車が動いたら帰る。華は心配しなくていいから。
大丈夫だから。だからー
悪いけどもう少し一人で待っててくれ』
と留守電が入っていたから、昨日の服のままお風呂にも入らずに財布だけを持って家を出た。
そんなことをしたってなんの意味もない。
分かってる。