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嘘みたいに穏やかな時間が終わって家に帰ると珍しく明かりが消えていた。
鍵を開けて中に入っても人の気配はなくてしんと静まり返っている。
嫌な感じがした。
空っぽの家が、冷え切った空間が、何か良くないことを知らせているようだった。
リビングに行ってみてもいつもそこにいるは母親の姿はなくて、二階にある母親の部屋に行ってみたけどそこにもやっぱり母親の姿はなかった。
床が歪んでいるみたいに足元がおぼつかない。
私はそれを望んでいたはずなのに、いまある現実をどうしても受け入れられなかった。
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