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使い古された背の高い本棚の一番端っこに分厚い本が一冊収まっていた。

「あった」

「学校案内かー。それって制服も載ってるもんね」

海と空が使うかもしれない。

そう思って取っておいた分厚い本。

中高一貫校に通ってた俺には必要ないのに父さんが買ってきたものだ。

その本には都内の学校案内が載っていた。

「春人ー、具合悪いの?ご飯どうするー?」

いつもならまずリビングに行く俺が部屋に駆け込むのを不思議に思ったのか、下から母さんの呼ぶ声がした。

「大丈夫。いま下りるから用意しといて」

ページを捲るのをやめてブレザーを脱ぐ。

「シヅキ、急いでご飯と風呂済ませてくるから待っててくれ」

「ゆっくりでいいよ」