「付き合うって具体的には?シヅキには何か未練があるのか?」

「分からない」

「そればかりだな」

「本当にね。でも、だから。協力して欲しいの」

「いいよ」

「え?」

「いいよ。協力する」

「本当に、いいの?」

「うん」

「幽霊だよ?それに何が未練として残ってるのか、私がどんな人なのか、自分でも何も分からないんだよ?」

「幽霊なのか人なのかどっちだよ。協力して欲しいって言ったのはシヅキだろう?」

「春人!」

抱きつこうとするシヅキの体が俺の体をすり抜ける。

「あっ」

その体は音もなくコンクリートの地面に倒れた。

「大丈夫か?」

「……痛くない」