これから飲みに行くのであろう大人たちの間を抜けて、母親に手を引かれる子供を避けて、横に広がって歩く学生の隙間を縫って。
そうやっていつもとは違う雰囲気の通りを抜けると、いつもと同じ静かな道にでた。
自転車にまたがってペダルを踏み込む。
家へと向かえば向かうほど、駅前から離れれば離れるほど、街は少しずつ明るさを失っていく。
交通量に合わない広い道路を、少し頼りなさすぎる弱い光を頼りに進む。
二又に別れてる道を細い方へと曲がってしばらくすると急な坂道が待ち構えている。
自転車を押して歩けば楽なのに、やっぱり俺はその坂道を自転車を押して歩きたくはなかった。
足に力をいれ、重くなるペダルを強く踏み込んで、そうやって坂道をよろよろと進む。