「そうかー。お兄ちゃんも大変ですねー」

「どうだろう」

「あ、ラブ!」

話しかけるだけ話しかけて、俺の言葉を聞くことなく凪が叫ぶ。

家の前にはおばさんがラブを連れて立っていた。

「ラーブー」

「凪!ラブの前に春くんにちゃんとお礼言いなさい。お夕飯ご馳走様してもらうだけじゃなく春くんにも迷惑かけて」

「春さんありがとうございました。大変お世話になりました」

凪が自転車から降りて深々と頭を下げる。

「凪!ごめんね春くん。こんなお調子者で」

「いえ、こちらこそ遅くまで引き止めちゃってごめんなさい」