シヅキの家からバス停まではとても近くて、いつの間にか目の前にはもうバス停が見えていた。
「もう着いちゃうね」
泣いたり。
笑ったり。
驚いたり。
喜んだり。
そうかと思えば名残惜しそうにそんなことを言ってみたり。
ころころと変わるシヅキの反応がその度に俺の胸をくすぐる。
「シヅキ、ちょっと止まって」
「どうしたの?」
「忘れってっただろう」
薄い紫の袋から小さな星のあしらわれたネックレスを取り出してシヅキの目の前にかざす。
「良かったー。失くしたのかと思ってた。春人が持っててくれたんだね」
「 ありがとう」そう言いながら俺の手元から離れたそれがシヅキの鎖骨のあたりで揺れる。