凪が空を腕の中に閉じ込めて頭を乱暴に撫で回す。

「離せよ!」

空の抵抗虚しく凪はなおも空の頭を撫で回す。

「良かったねー空。凪ちゃんに抱きしめてもらえて」

「良くねえ。抱きしめるってか締められてる」

「凪、遅くならないうちに行くぞ」

「あー、名残惜しい。また来るからね」

「待ってるねー」

「もう二度と来るな」

「凪ちゃん、お母さんによろしくね」

「はい」

まるでどこか遠くに行く人を見送るようなやりとりの後、俺たちは自転車で十分とかからないの凪の家へと向かった。