『海ちゃんは本当に春人が好きなんだね』

『空くんいまの観た?』

『お父さん、お酌しましょうか?』

『お母さん大変ですね。何か手伝います』

『春人、なんかいいね。こういうの。素敵』

だけど君の声は何一つ聞こえてこなくて、俺はまだうまく笑えないまま、苦笑いを浮かべるしかなかった。

「海、空。そろそろ寝なさい」

「これだけ観てから」

「はーい」

「ごちそうさま。俺も風呂入って寝るね。おやすみ」

「春兄待って。海も歯磨きするから一緒に行く」

「うわ。ブラコンきめえ」

「うるさいよ。空も早く寝なよね」

「おまえに言われたくない」

「海、行こう」