「誕生日のプレゼントなんだ。取っておくから変えたくなったらいつでも言えよ」

「ありがとう」

「そろそろ時間か?バイト頑張れよ」

「うん。行ってきます」

タイヤを交換しただけで自転車はすいすいと進んだ。

それにー

それに、君の分だけ、シヅキの分だけ重さがないんだ。

シヅキを乗せて漕いだこの自転車を、まだもう少し手放したくないなんて女々しいけど、でも大丈夫。

もう泣かない。

軽くなったペダルが物足りないって、君がいない日々が物足りないって、それくらいは思ってしまうけど。

でも泣かない。

なあシヅキ。

俺は一人でだって前に進むよ。