なんだか緊張した。

海と空が生まれてからってことはもう十年、父さんと二人で歩くなんてしていない。

二人だけで話すなんて本当に久しぶりだった。

「学校はどうだ?」

「楽しいよ。ほとんど知ってるやつばかりだし、先生も優しいし」

「そうか、持ち上がりだもんな」

「うん」

「早いな」

「何が?」

「時間が経つのがさ。ついこの間まで小さかったのに、いまは父さんより背が高いんじゃないか?」

ちらりと横を見て、父さんの視線に目を合わせると確かに俺のほうが少しだけ目線が高かった。

「成長期だからね。まだ伸びるよ」

「 嫌だな」そう言ってから父さんが笑った。