「春人」

シヅキの手が俺の頬に添えられ、溶け込む。

温かい。

触れられた感触もシヅキの体温も、感じるはずがないのにそう思った。

「あと少し。本当にあと少しだけど、一緒に居よう。一緒に居て、お喋りをして、二人で笑おう」

「笑えないよ」

「大丈夫。春人ならできるよ。大丈夫」

シヅキがそう言うならそうなのかもしれない。

だけどいまは無理だ。

笑えない。

いまは。

だけど「大丈夫」だと「できる」と君が言うなら、君がそれを望むなら、俺も頑張るから。