「あのー」

「ねえ、もう行こうよ」

「うん」

俺にはもう何もできないのか?

「ちょっと待ってください!住所、シヅキの家を教えて下さい」

「家って言っても星月ちゃんは」

「お願いします!」

シヅキは他の人には見えない。

だけどシヅキには見えている。

だから、せめて、家族に会わせてあげたい。

シヅキの友達に頭を下げた。

お願いだ。

俺のことは怪しんでくれて構わない。

だけどシヅキに家族と会わせて欲しい。