そうだ。

俺たちはシヅキのことを“知るために”ここに来たんだ。

だけどさっきからシヅキは懐かしいと変わらないと言っている。

「シヅキ」

隣に立っているシヅキに、周りには聞こえないように小さな声で名前を呼ぶ。

「なあに?」

ー思い出したのか?

「あっ……。うん、そうだね。少しだけ、この場所のことだけ思い出したかも」


歯切れ悪くシヅキはそう言った。