「あー、この感じ。懐かしいなー」

地味だけど意外と人通りの多いその場所でシヅキがくるくると回りながら辺りを見渡している。

そのシヅキの体を何人かの通行人がすり抜けていく。

俺は改札の前に立ったままそんなシヅキを眺めた。

「春人の住んでる街もいいところだけどここもなかなかでしょ」

くるっと回ってみせてから両手を広げて自慢気にシヅキが聞いてくる。

周りの人に怪しまれないように小さく頷いて応えた。

確かに思っていたのとだいぶイメージは違うけど、少し寂れた感じとか歩いている人の雰囲気が初めて来た場所なのに妙に懐かしい感じがして悪くないなと思った。