嘘の笑顔でシヅキの言葉を一つ一つ、取りこぼすことなく聞いた。

大丈夫。

君は一人じゃない。

君の隣には俺が、俺の隣には君がいる。

そう伝わるようにどんな小さな言葉にも顔に笑顔を貼りつけて相槌を打った。


俺は人生で初めてきたこの場所で、二十三区内でもこんなに地味なところもあるんだと知った。

俺のイメージしていた杉並区はもっと高級感に溢れた敷居の高い場所で、だけど目の前に広がる景色はそんなのとは無縁で、大きなデパートがある訳でも特に遊べるようなところがある訳でもなく、だからといって高級マンションが建ち並んでいる訳でもなく地味な商店街があるだけだった。

俺の住んでいる郊外のあの街の方がまだ都会的だ。