なんで?

あんなに嫌がっていたのに、目の前を進むシヅキは全く人を避けようとしていなかった。

シヅキの体が誰かの体をすり抜ける度に嫌な感覚が広がった。

なんで。

なんで避けない?

あんなに嫌がっていたのになんで。

嫌だ。

嫌だ。

嫌だ。

誰かの体をシヅキがすれ違うのを見るのが嫌だ。

幽霊なんだって思い知らされるのが嫌だ。

俺には見えてるのに、シヅキの姿がはっきりと見えてるのに。

そこにいるのが分かるのに。


だけど同じだ。


俺も君に触れられない。