自転車を指定の場所に止めて緑に囲まれた大きな、まさにそびえ建つって表現がぴったりな校舎を見上げる。

決して高くはないその校舎をだけどやたらと横に広いから、お城なんて見たことはないけど、きっとお城に似ているんだろうなと思う。

「今日は凪ちゃんと一緒じゃないんだな」

声に振り返るとジャージを着た勝也が立っていた。

「別に一緒に来てるわけじゃないからな」

「でもいつも一緒にいるじゃん」

「凪がついてきてるだけだよ」

「凪ちゃん彼氏できたんだもんなー」

「関係ないよ」

「でもさー、小学校からの付き合いだろ?凪ちゃんって明るくていい子だし、俺としては二人にくっつい欲しかったわけですよ」