「そりゃ死にたくなんてなかったですよ?」
「辛いか?」
「辛いし悲しいし悔しい。もっとたくさん生きて、勉強して仕事をして、結婚して子供を産んで、温かい家庭を持ちたかった」
「うん」
「でもいいこともあったから、だから不幸だとは思ってないよ」
「いいこと?」
「春人に会えた」
「……」
「春人に出会って仲良くなれて、それって私が死んだから生まれたものでしょ?だから自分のことを不幸だなんて思わない」
「シヅキは強いな」
「そうかな?」
強いよ。
まだやりたいことがたくさんあったのに、急に終わってしまったのに、そんなふうに思えるなんてとても強い。