「春人」

「うん?」

「お誕生日おめでとう」

「ああ、ありがとう」

「良かった。当日にちゃんと言えて」

「まだ何も分かってないんだ。成仏できるまでまだ時間がかかるんじゃないか?」

シヅキは応えることなく空を見上げる。

「帰ろうか」

しばらく黒いだけの空を見上げてからそう言った。

「それ俺の台詞」

「えへへ」

俺たちはまた二人で一台の自転車を押して、家までの道を並んで歩いた。