自転車で凪のペースに合わせながら緑の中を走る。
その間も凪の話は続いていて、それをBGMに進んでいく。
大学に付属されたベージュの建物が見えてくる頃には俺や凪と同じ紺のブレザーを着た学生が道を埋めていた。
いつもの朝のいつもの光景。
隣に凪が並走しているのも、まあ大体いつものことだ。
「先輩!」
隣よりもほんの少しだけ後ろから凪の声が響く。
「凪、おはよう」
「おはようございます。朝から先輩に会えるなんて凪ったらラッキーだなぁ」
「はは。俺も。春人くんもおはよう」
「おはようございます」
「先輩!もうすぐ春の誕生日なんですよ。なのに春ったら家で過ごすらしいんです」
自転車を降りて押しながら、挨拶をかわしてしまった俺も仕方なく二人の後を自転車を押して歩く。
「いいだろ。ってかそんなこと先輩に話しても反応に困るから」