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いつもは閉まっているカーテンから、今日は眠るには眩しいくらいの月明かりが部屋の中に落ちている。

幽霊には食事も睡眠も必要ない。

だけど夜の時間も俺たちと同じだけ平等にあるから、その時間が苦痛にならないようにカーテンを開けておくことにした。

遮光カーテンもない丸裸の窓からは明るく細い道が射し込んでいる。

その中でシヅキの鼻歌が小さく響いていた。

俺の知らない歌。

もしかしたら自作なのかもしれない。

聞いたことのない歌なのに、もう何回も聞いているからか懐かしいような不思議な気分になる。

「これを辿ってったら私も星になれるのかな」

鼻歌を止めてポツリと呟く。