それに何より楽だった。
俺が折れれば無駄な争いが減って物事がスムーズに流れるようになった。
いままで突っ張っていたことが馬鹿だと思えるくらい何事も楽にことが運んだ。
俺には芯がないんだ。
意地とかこだわりとかいったものを持たないほうが楽で、それで周りがうまく回るならそれでいいと思ってる。
「そんなことないよ」
にっこりと笑いながらシヅキが言う。
「春人はちゃんと持ってるよ」
「そうか」
シヅキが何を指してそう言ったのか分からない。
だけど全部を知っているように微笑みながら君がそう言うからそうなのかもしれないと思えた。