「春?」
声に目を向けると前から凪と先輩が歩いてきていた。
「何してるの?」
「こんばんは。別に何もしてないよ。帰るところ」
「ふーん?で?欲しいものは考えた?」
「いらないよ」
「まあまあ、そう言わずにさー」
「特に欲しいものないんだって」
「またそういうこと言う。春の歳で欲しいものないとかおかしいですよね?」
凪の矛先が先輩向かう。
「うーん、そうだなぁ。遠慮してるんじゃないか?」
「そんなの必要ないのに。凪と春の仲じゃん」
そんなこと彼氏の前で言うか?
だけど先輩は全く気にする様子もなく穏やかな笑顔を滲ませている。
なるほど、先輩は本当に人として完成してるんだなと思う。
さすが凪の彼氏だ。