「そろそろ帰るか?」
「うん」
来た道を並んで歩いて、学生と仕事帰りの大人たちで溢れかえった電車に乗った。
来た時とは違い賑やかさの代わりにたくさんの人で車内は溢れていた。
その中で人に押しつぶされないように車内の中程まで進む。
少し後ろをついてくるシヅキも人の隙間を抜けながら、だけど他の人には見えていない体はすれ違いざま人の体をすり抜けたりしていて本当に幽霊なんだなと思った。
駅からすぐの駐輪場までを並んで歩きながら、いつもはお喋りなシヅキが静かなことを不思議に思う。
ちらりと横を見るとその体は人をすり抜けるのに、それでも極力触れ合わないように慎重に歩くシヅキがいた。