何やら考え込んでいるのかブツブツと何かを呟いている。

その声は意識してか無意識かとても小さくて、狭い部屋で向かい合って座っているのに俺の耳には届いてこなかった。

「シヅキ?」

「あ、ごめんね。考えごとしてた」

「考えごと?」

「うん。ねえ、お喋りしよう」

「せっかくカラオケに来たのに?」

「だからだよ。外だと春人とお喋りできないでしょ」

それもそうか。

でもだったら神社なんて行かずに初めからここに来れば良かったな。

「そういえば神社ではなんともなかったな」

「え?」

「いや、シヅキは幽霊だからさ。神社にいてもなんともないんだなと思って」

「もしかして成仏させようと思って神社を選んだの?」

「違うよ。いまそう思っただけ」