兄貴のところに世話になるから荷物は最低限だけをまとめた。

だけどそもそも男の荷物なんか大した量はなく、俺は三月を待たずして準備を終わらせてしまった。

そうなるともう東京に行ってしまいたくて仕方がなかった。

早く会いたい。

だってこうしている間にも時間はどんどん過ぎていく。

それでも“中学生”という枠がそれを許してくれなかった。

受験が終わっても中学生としての役割は残っていて。

それは卒業する当日まで俺をここに縛り付けた。