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多くの湿気を含んだ不快な季節が終わり、太陽がジリジリと焼き付けるように照りつくようになった。
それは、そんな暑い日のことだった。
その日、私は企画課の桧山さんに告白された。
三つ歳上の彼はその端正な顔立ちと紳士的な振る舞いから、女性社員の間では王子と呼ばれている人気者だった。
そんな桧山さんが特に取り柄のない私に
「好き」だと。
「付き合おう」と。
そう、言ってきたのだ。
一瞬自分の身に何が起きたのか理解ができなかった。
人並みに恋愛は経験してきた。
経験してきたけれど、桧山さんのようなタイプの人に付き合おうと言われた経験はない。
それどころかこういうタイプの人とはとはろくに話しをしたことすらなかった。