「おはようございます」
後から出社してきた同僚に挨拶をするといつもと様子が違うような違和感を感じた。
それでも目の前には休んでいた分の仕事が溜まっていて、その時はその違和感について深く考えることはしなかった。
お昼休憩もそこそこに午後も溜まった仕事を片付けるのに忙しく、気がつくと部署には数人しか残っていなかった。
時計を見ると八時を回っている。
今日は帰ろう。
軽くデスク周りを片付け残ってる同僚に「お疲れ様でした」と声をかけ会社を出た。
帰りの電車に揺られながら桧山さんと言葉を交わすことがなかったことに気づく。
それどころか顔も見かけていない。
会社に行けば、会えば誤解を解ける。
そう思っていたはずなのに仕事にばかり気が向いていて桧山さんのことを考える余裕がなかった。