「ありがとう。忙しくはしてるけど、無理はしてないかな。
でさ、聞いてると思うけどいまこっちに帰ってきてるんだ。
おばさんもいまウチにいてさ。
『菜乃花が帰ってこない。連絡くれない』
て母さんに漏らしてるところに出くわしちゃって。
俺からも電話して欲しいって頼まれた」
「わあああ。ごめんね。修くんにまで迷惑かけて。
どうせまた変なこと言ってるんでしょう?
聞き流してくれていいからね」
「言ってる。おばさん相変わらずだよな。
俺好きな人いるって言ったんだけど……。
それでもすっごい菜乃花のこと推してくる。
いや違うな。あれは菜乃花より自分を売り込んでるのか?
それにー」
最後の方はわざとなのか無意識なのか囁きよりも小さな声で上手く聞き取れなかった。
「お母さんまだそんなこと言ってるんだ。
修くん本当にごめんなさい。
連れてこいって言われて電話切っちゃったからかな。
年末も帰らなかったし」