嬉しかった。

かなちゃんには他にもたくさん見るべきものが、見えるものがあるはずなのに。

その世界で一番濃い色を持ってるのは私だったんだから。

「嬉しい。かなちゃん、ありがとう」

こんな風に私を見ていてくれてありがとう。

教えてくれてありがとう。

私は何一つしてあげられないのに、私ばっかりこんなに貰っていいのかな?

「あー。もう。泣くなって。

俺が泣かしたみたいじゃん」

「何言ってるの?かなちゃんが泣かせてるんだよ?

泣かせてくれてるんだよ?」