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「そうか」

それがどんなに辛かったか俺には想像もつかない。

菜乃花はそんな中で、一人であの部屋に篭ってたんだ。

「でもね、いまはあるの。分かるの。

味も。笑い方も。泣き方も。眠り方も。

少しずつだとしても前に進む方法も分かるの。

いまはちゃんと見えるの」

良かった。

きっともう、菜乃花は一人じゃないんだろう。