ーーー

やっと人通りが少なくなってきていまなら走れる。

そう思った。

なのに何度も通ったその道にでて、後少しで菜乃花の家に着くと思うと緊張してきてうまく走れそうになかった。

一度大きく息を吸い込む。

走るのは諦めて、でもいつもより少しだけ早めに足を動かす。

菜乃花は家にいるだろうか。

これを受けっとってくれるだろうか。

喜んでくれるだろうか。

また、笑ってくれるだろうか。

俺は菜乃花が笑ってくれるだけで。

それだけで俺は……。