街路樹には小さな蕾がぽつぽつとついていて。

日差しは柔らかく降り注いでいて。

それがキラキラと世界を明るくしている。

自然と人をわくわくした気持ちにさせる。

春がきたんだ。

繋がれた手に桧山さんの体温を感じる。

私のより少し高めの体温が繋がれた手からじわじわと伝わって冷たく冷えていた私の手を温めた。

毎日歩いている通い慣れた道でもただ桧山さんと並んで歩いているだけで私はどうしようもなく温かな気持ちに包まれていった。

目的の場所までは電車で一時間弱かかった。

電車を数回乗り継いで途中、目についたお洒落なカフェレストランで昼食を済ませる。