菜乃花が好きだと言ってくれた絵を描けるのも。

誰かのために何かをしたいと思えたのも。

全部、菜乃花がくれたもの。

菜乃花がいるからできたこと。

もう一度クロッキーを手に取りページを捲る。

白黒に切り取られたその世界の中で、盗み見て描いた菜乃花だけが色付いて見えた。