「そうですか?それはそれは。

きっと大切な方への贈り物なんですね」

「はい」

「話しかけてしまって申し訳ありませんでした。

どうぞごゆっくりお過ごしください」

大切な人。

そうだ。

好きとか愛してるとかだけじゃない。

菜乃花は俺にとっての全てだ。

菜乃花がいるから俺がいる。

恋をしたあの日から、俺の世界は大きく変わった。

咲く花が。

葉を茂らせる木が。

流れる川が。

世界を形造る全てが綺麗に見えた。

だからそれを残したいと思って、落書きじゃなくきちんと描きたいと思って美術部に入った。