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そうしている間にとうとう何も吐き出すものがなくなった。

口をゆすいでそのままコーヒーセットを取り出す。

一回落ち着こう。

お湯を沸かしドリッパーにフィルターをセットして粉を入れる。

粉の香りとぶくぶくと泡立つお湯を見ていると少しずつその何かが小さくなっていくのを感じた。

湧いたお湯を少し冷ましてからドリッパーに回し入れると湯気と一緒に芳ばしい香りが立ち込める。

その香りと温度に心がゆっくりと落ち着いていった。

部屋へ戻るとスマホのチェックは終わったのか、桧山さんは小さなソファーでくつろいでいた。