「今日はお一人なんですね?」

店主さんが柔らかな表情で横に立っていた。

「はい。ホットコーヒーとチーズケーキをお願いします」

「ホットコーヒーとチーズケーキですね。

かしこまりました。少々お待ちください」

メニューが下げられると見るものがなくなってしまった。

鞄の中にはスマホがあるけど連絡をとる人もいなければネットを開く気にもなれない。

手持ち無沙汰に窓の外を眺める。

雨は弱まる様子もなく降り続け、あまり遠くまでは見渡せない。

それでも大きなあの公園の、たくさんの木々はちゃんと見えた。