それでも心にはポッカリと穴が開いたような喪失感と。

桧山さんを失わずに済んだ安心感が混ざり合って。

なんとも言えない不快感を覚えた。

自分の中に私じゃない別の何かが流れ込む。

気持ち悪い。

私はそれに蓋をするように瞼をきつく閉じた。

それでも桧山さんがスマホを確認しているのが音や雰囲気で伝わってくる。

それと一緒ににその何かはどんどん私の中を占領していった。