※※※ 「かなちゃん!」 あの時の声だ。 間違えようがない。 はっきりと覚えてる。 耳をくすぐるような甘い声。 全身を駆け巡る熱。 あの日のうだるような暑さも。 蝉の声も。 汗で滲んで纏わりつくシャツの感触だって鮮明に覚えてる。