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「かなちゃん!」

あの時の声だ。

間違えようがない。

はっきりと覚えてる。

耳をくすぐるような甘い声。

全身を駆け巡る熱。

あの日のうだるような暑さも。

蝉の声も。

汗で滲んで纏わりつくシャツの感触だって鮮明に覚えてる。