目の前にはでかい池がこれでもかと存在をアピールしているのに。 そこに浮かぶボートがゆったりと水面を流れているのに。 木だって何本も池を囲うように植えられているのに。 それでもなのねえが描いたのは一本の木の一つの枝、そこに芽吹いた小さな蕾。 まだ咲く前のそれはとても小さくて、ほとんどの人が気にも留めないだろう。 でもなのねえはそれを見つけた。 選んだ。 これがなのねえに見えてる世界なんだろう。