仕方ない。
浮かれて飛び出してきた俺が悪い。
来たばかりの通路を引き返す。
だけど、階段に差しかかろうとしたその時。
背後からドアが開く音が聞こえた。
部屋を間違えた。
一瞬、本当にそう思った。
ドアから覗いている顔は青白く、髪もボサボサで、少しだけ見えるその体はそれだけでも分かるくらい細く弱々しかった。
それでも僅かに上げた顔から覗くその目は。
とても虚ろで俺の見たことないものだったけど。
それでも、間違いようもなく。
なのねえのものだった。
声も同じだった。
「かなちゃん?」
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