「私をこうさせたのは桧山さんですよ。

それに桧山さんに比べたら私なんてまだまだ全然及ばないです」

私は桧山さんに習って同じようにおどけてみせた。

その時の私はとても幸せで、満たされていて。

桧山さんの瞳の奥にあった鈍い光に少しも気づくことはなかった。