そんな彼を、いつもは桧山さんがしてくれるように自分の腕の中に包み込む。

「桧山さん。私は桧山さんが好きです」

そう言って彼の首元に顔を埋めると私のとは違う桧山さんの香りが鼻をかすめた。

「大好きです」


しばらくの間そうしてからゆっくりと顔を上る。

「菜乃花も言うようになったな」

そこにはおどけながらも優しく目を細めて微笑む桧山さんがいて。

どうしようもない充実感に包まれてしまう。