クロッキーから切り離された紙と鉛筆を渡される。 自分の絵の実力は知っている。 かなちゃんの絵と比較しなくても下手くそだ。 そもそも私の絵を下手くそだと笑ったのはかなちゃんだった気がする。 「もう破いちゃったからさ。 まあ、取り敢えず描いてみなって」 そう言うかなちゃんの表情には下手な絵を期待するような好奇心はなくて。 私はおずおずと手を伸ばしかなちゃんにならって鉛筆を動かしてみることにした。