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真っ暗だった。
寒さに目を開けるとそこには真っ暗な空間が広がっていた。
まだ夜中なのかなっとも思ったけどー
だけどしばらく目を凝らしてみても一向に何も見えてこない。
おかしい。
いくら夜中だとしてもこんなに何も見えなくなるほど暗いはずはない。
眠れない夜を何日も過ごしてきたから知っている。
夜中でも目が慣れれば物の位置がはっきり分かる。
この世界は夜でも光を失わない。
月や星。
何より人工的な明かりがこんなに完全な暗闇にはしてくれない。
それなのにいまはいくら目を凝らしても何も見えない。
「雪代さん……」